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北陸本線 幽霊列車 [話題のニュースニュース]

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通勤・通学客でごった返すホームにスーっと現れ、ドアが開いたかと思えば、1秒で閉まり、走り去る。


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見た目は普通の通勤電車なのに、どうやら時刻表にも載っていない。「幽霊列車か?」。


都市伝説のような謎の列車。行き先を知らせる方向幕にあるのは「鮮魚」の二文字。


幽霊列車の正体を追って内部に“潜入”した。そこで目にしたのは、まさに鮮魚。


しかも、この列車は半世紀にわたって運行が続いていた。


■一般客は乗車不可!  


「間もなく、7番乗り場に、団体専用列車が参ります。一般のお客さまはご乗車になれませんのでご注意ください」  


年の瀬が迫った昨年12月中旬の午前6時25分、まだ夜も明けきらぬ近鉄山田線松阪駅(三重県松阪市)のホームに、構内放送が流れた。  


姿を現したのは、マルーン(くり色)の車体に2本の白い帯をあしらった古めかしい電車。


昭和46年に急行用として登場した2680系だ。入線してきた3両編成の車内をのぞくと、乗客はわずか1人。


放送では「団体専用列車」と案内していたが、「団体」というより「個人」だ。  


ドアが開くやいなや、ホームに積まれた発泡スチロールや木箱が次々の車内に運び込まれていく。


松阪駅では新たに6人の乗客が車内に乗り込んだ。  


「鮮魚」。全国に鉄道数あれど、種別や行き先を表示する電車の方向幕に、こんな文字を掲げている列車は他にあるまい。


貨物列車ならいざ知らず、見た目は普通の通勤電車。


「急行」や「快速」といったたぐいの種別なのか、それとも行き先なのか。  


3両編成の団体専用列車に乗客が7人というのも気になる。乗客はどこから、どうやってくるのか。  


■「乗客」はみな早起き  


「鳥羽のタコ、やわらかくておいしいで!看板娘と書いといてや!」  


まだ街が寝静まっている午前4時前、松阪市内の「玉福水産」に威勢の良い声が響く。  


“看板娘”の社長、西田みね子さん(65)が切り盛りするのは、伊勢湾で揚がったばかりの海の幸が集まる鮮魚卸問屋。鮮魚列車の「乗客」は毎朝、ここで新鮮な魚介類を仕入れ、列車で大阪方面へと運んでいる。


乗客の正体は、鮮魚を大阪へと運ぶ行商人たちだったのだ。  


身をくねらす「生きタコ」に鳥羽のカレイ…。年の瀬も迫ったこの時期は「おせち料理」で使われる伊勢エビやかまぼこが列車に揺られて届けられる。  


中学卒業後、16歳で行商人になった伊勢志摩魚行商組合連合会会長の浜田吉一さん(63)も、毎朝ここで鮮魚を仕入れてきた。


「大阪の人に新鮮な魚を届けるのが生きがい」だ。  


■食材偽装にもの申す!  午前5時半、仕入れを終えた行商人たちが松阪駅前の「たつ食堂」に集まった。


店主の中村和江さん(84)は午前2時半に起きて仕込みを始め、早朝から行商人たちを迎える。  


朝食を取りながら、一杯つけている人もいて、店内は古き良き「駅前食堂」の雰囲気が色濃く漂う。  


「行商の魚は間違いなしの鮮魚や!」  湯気が立つほど熱いみそ汁をすすっていた行商人の浜口重美さん(64)が食材偽装問題をばっさりと切った。


「ホテルみたいに偽物なんか使えないね。お客さんの前で生の魚を刺し身にするんだから」 


 解凍魚を使っていたのに、メニューに「鮮魚」と表記していたホテルもあったが、行商人にとって「鮮魚」は誇り。食材偽装問題にはみな、一家言ある。  


おせちシーズンを前に、国産の伊勢エビが品薄状態になっているとも聞いた。


食材偽装問題が発覚したからなのだろう。今年の暮れは「本物」を使う業者が続出。


伊勢エビの価格は2倍に跳ね上がったという。  


「本物」を当たり前に運んできた行商人たちにとっては、食材偽装問題のあおりを食った形だ。  


■これが鮮魚列車だ!  鮮魚列車は日曜・祝日を除く平日に1日1往復。午前5時50分、三重県明和町の明星車庫(明星検車区)を出て、宇治山田駅から上りの鮮魚列車として出発。松阪など主要駅に停車しながら、大阪上本町駅(大阪市天王寺区)へと向かう。  


下り列車は上本町駅を午後5時15分に出発。終着は松阪駅で午後7時33分に到着する。


その後は、明星車庫まで回送されている。  運行開始は昭和38年9月21日。平成25年は運行50年の節目の年だ。半世紀にわたり、“天下の台所”を支えてきた列車といっても、過言ではない。 


 車内はどうなっているのか。足を踏み入れると、意外にも普通の通勤電車と同じ。だが、間もなく“異変”に気づいた。つり革や中づり広告がないのだ。  車内にの至る所に、鮮魚の入った大きな荷物が積まれ、行商人たちは「ロングシート」でくつろいでいる。車内は自由席だが、長年の習慣で、どの車両のどの座席に誰が座るのか、決まっているのだという。 


 ■女性専用車両も?!  午前6時34分、7人の行商人と記者、カメラマンの総勢9人を乗せた鮮魚列車が動き出した。


乗客は勝手知ったる常連。乗客の眠りを妨げないためか、車内放送は一切なかった。  


最後尾の3両目は女性たちの“社交場”だった。  「ワハハハハ」。弁当をほおばりながら見永(みなが)けい子さん(61)が「家で寝るよりもよく眠れる」と話すと、車内は一気に笑い声に包まれた。  


親の後を継いで10年前に行商人になった角野(すみの)由佳子さん(48)は「車内でご飯も食べられるし、ワイワイがやがやできるし、横になって寝ることもできる。気が楽でいい」と鮮魚列車が大のお気に入りだ。  


午前6時41分、伊勢中川駅に到着。ドアが開き、約6分間停車した。


荷物を抱えた4人が1両目に乗り込んだ。乗客はこれで、行商人11人と、記者、カメラマンの計13人に。行商人が乗り込むのはここまで。

この先は降りる一方となるから、これ以上乗客が増えることはないという。  


1日の利用客は平均数人~10人。普段よりは乗っているほうかもしれない。



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